眉間の皺
2024年04月16日 17:06
ある(架空の)ACのモノローグ
母親の眉間の皺を見るのが嫌だった。
私は、母親が眉間に皺を寄せなくてすむ、
そんな子どもになりたかった。
母親の眉間に皺が無いと、
私は私に価値を感じ、
母親の眉間に皺が寄ると、
私は私を強く責めた。
私は、勉強も家事も頑張った。
そして、おとなになった。
私は、母親が眉間に皺を寄せなくてすむ、
そんなおとなになれただろうか?
ある日、ふと鏡を見ると、
私の眉間にも、
母親そっくりの深い皺が刻まれていた。
あんなに嫌いだった眉間の皺。
私は、私が嫌いな私になっていた。
今までは、
母親の眉間の皺を無くすために生きてきた。
これからは、
自分の眉間の皺を無くすために生きていく。
だって、私の人生は、
私のものだから。
窪田佳美