中外製薬は、ダウン症治療薬の臨床試験を日本で開始した。ロシュが創製した低分子化合物「RG1662(開発コード)」で、ダウン症の知的能力を改善する薬剤として製品化を目指す。知的能力障害に有効とされる薬剤はまだない。開発が順調に進めば、RG1662が同適応症の治療薬としてファーストインクラスの新薬になる見通しだ。
ダウン症では、抑制性神経伝達物質である「GABA(ガンマ・アミノ酪酸)」を介して抑制性の中枢神経伝達が優位になるため、効果的な学習・記憶が妨げられるとされる。GABA-A受容体が持つサブユニットのうち、認知や記憶に重要な役割を果たす海馬・前頭前皮質に多く存在するのが「α5サブユニット